Audi Q7 3.0 TDI quattro
  表記のクルマを運転する機会を得た。但し、アウトバーンの存在するドイツではなく、スロヴェニアとクロアチアでの事である。搭載されるエンジンは、新開発のV6 3.0L、TDIエンジン。 今まで管理人は、パサートに搭載された2.5LのTDIは運転した事があるが、新しいエンジンであるこの3.0Lは初体験。 大いに期待するところである。それに、このQ7には、エアサスが装備されていた。これもなんだか楽しそうである。普通なら装備の紹介なのだが、今回は、試乗記という事で。
エンジンスペック
 Q7には、現在、ガソリンのV8 4.2LとディーゼルのV6 3.0Lが存在する。写真でエンジンルームを見るに、さすがQ7くらいの大きさだと、V6 3.0Lエンジンでもまだスペースに余裕がある様に思える。 おそらく今後、ガソリンは、3.2L?、ディーゼルは、A8に装備されているV8 4.2L或いは、VW Touaregに装備されているV10 5.0Lのどちらかが積まれるのではないか?
 V6 3.0L TDI  :
 2967cm3 , 171kw(233ps)/4000rpm , 500Nm/1750-2750rpm ,
 Max speed 210km/h , 0-100km/h : 9.1s , Weight : 2,295kg
 V8 4.2L :
 4,163cm3 , 257kw(350ps)/6800rpm , 440Nm/3500rpm ,
 Max speed : 244km/h , 0-100k/h : 7.4s , Weight : 2,240kg
 V8 4.2L TDI (Audi A8) :
 4,134cm3 , 240(326ps)/3750rpm , 650Nm/1600-3500rpm ,
 Max speed : 250km/h
 V10 5.0L TDI (VW Touareg) :
 4,921cm3 , 230kw(313ps)/3750rpm , 750Nm/2000rpm ,
 Max speed : 225km/h
 装備自体は、A6が基調となっているので、以前にドライブしたA6 3.2 FSI quattroとそれ程大きな違いはなく、違和感は感じなかった。 もちろん、スポーツモード付ティプトロニックであり、MMIも装備されている。
 オーディオシステムは、BOSEシステム。
 スタートはスイッチではなく、オーソドックスなキースタート。パーキングブレーキもフット式であり、変速パドルは付いていない。
 特に他の装備で、あれっと思ったものは、ルームミラー。ミラーの右上に赤く「S」が表示されている。これは、進行方向を示している。つまり、South(南)に向かってドライブしているということだ。 また、パーキングシステムも、音で距離間を示すだけでなく、以下の写真の様にビジュアルで距離感を表示してくれる。
 そして、教えてもらうまで気がつかなかったのが、グローブボックスの中。 左の写真の様なエアコンの吹き出し口が付いており、グローブボックスの中はガンガンに冷え、正に冷蔵庫の様。


 さて、MMIのナヴィゲーションシステムですが、残念ながら、スロヴェニア、クロアチアは、標準の地図に含まれておらず、写真の様に、むなしくも白地図の上を矢印のみが動いています。この写真を撮影した時には、イタリアとの国境沿いで、イタリアの道路地図は見えるのに、スロヴェニアサイドは何も無し。残念です。 

 但し、このナビですが、標高が表示されます。地図データが無くても表示されており、トンネル通過時には表示が消えることからGPSにて測量しているのでしょうが...。これはいいなと思いました。写真の表示左下に、「120m」と表示されています。道路標識にて確認しましたが、正確です。
 エンジンをかけると、ディーゼルエンジンとはいえ、V6らしいマルチシリンダーの迫力みたいなものを感じる。そして、ディーゼルエンジンとは思えない程の静かさ。アイドリングでも、少し吹かしてみてもいやな音や振動はほとんどありません。
 そして、加速する。さすがに2.5tの車重を感じる出足。500Nmのトルクも、233psの馬力も、ゼロスタートには寄与しない様です(当たり前)。しかし、1500rpmを越えるあたりから、急に加速し始め...あっという間に100km/hに達してしまいます。ガソリンほどのスムーズさはありませんが、レスポンスが悪いとは感じない。しかし、Sモードにてゼロ発進すると、なんとノーマルモードの鈍さを感じない。一気にタコメーターが吹き上がってそれなりの速度まで。オーナーによると、このSモード。発進時に良く使うとのこと。ほぼストレス無く加速出来る。 そして、一度、速度に乗ってしまえば、こっちのもので、加速、減速はスムーズ。そして、条件の良さそうな道路で最高速に挑戦。踏めば踏んだだけ加速し続けあっという間に180km/h。振動もノイズもなく、ズムーズに巡航可能。コントールできていると実感有り。加えてまだ、追い越し加速の余裕もあり。そのまま踏み続け200km/hを越える。少し、ノイズと振動が出始める。220km/hまで一気に踏み込む。このあたりは、もう振動とノイズで話も出来かねる状態。この速度帯での巡航は無理と悟った。しかし、まだ、数センチの余裕がアクセルに残っていた。しかし、オーバー200km/hでの巡航に関して言えば、V8 4.2Lのガソリンエンジンにするか、V10かV8のディーゼルエンジンが搭載されるのを待った方が良いかも。そして、それぞれの速度域でのエンジン回転数は、100km/hで約2,000RRM、180km/hで約3,200RRM、200km/hで約3,400RRMくらい。
 次に、アダプティブエアーサスペンションである。5種類のモードがある。もちろん、LIFTが最も高い位置。それに継ぐのが、オフロード車としての高さ。そして、通常使用は、コンフォート。柔らかいとは思わないが、ダンパーがいなしてくれる感じ。そして、高速度域になると自動的にAUTOMATICという位置に下がる。これは、ドライブしていると実感できる。スゥーっと車高が落ちるのだ。それでも、ガチガチという感じはしない。まだまだ、ダンパーが路面の荒れをいなしてくれる。そして、ダイナミックモード。これは最も低い位置で、ダンパーがガチガチになる。コンフォートの様にいなしてはくれない。しかし、気合いを入れて走るときには非常にありがたいモードである。そして、エンジンを切ってクルマを離れるときに、プシューと空気が抜ける...。 エアーという実感。
ここまでのスピードになると、振動でぶれてしまいきれいな写真は撮れなかった。 ほぼ220km/hを表示。
エアーサスペンションの画面。もちろん、このMMIディスプレイに表示された内容は、DISにも表示される。加えてブルートゥースにも対応。
 不具合は?

 納車2ヶ月。走行距離13,000km。 
 @ もともとは、違うサイズのホィール・タイヤを履いていたそうだが、この255/55 R18 Continental Cross contactに代えて納車してもらったところ、たった13,000kmでタイヤの山がほとんどない状態。おそらく、車重の重さと、その機動力に耐えられなかったらしい。もっと堅いタイヤを。
 
 A エアーサスが停車時に水平を保たない時がある。走っている時には問題ないそうだが、停車しておくと、たまに車体が変な体勢となっているらしい。これは、そのセンサーが不良と見ているようで、エアーダンパーごと交換予定との事。

  この写真が、先代のTOYOTA ランドクルーザー。10年経過、且つ、400,000kmを越えているらしい。しかし、Sloveniaは7年以上の中古車の輸入を禁じているために、マニアなオフローダーに、この年式のモデルが支持され、街で見かけて売ってくれの依頼が多かったらしい。今は、ホィールのメンテ中だが、15,000ユーロで販売する予定となっているらしい。 
 
 このAudi Q7は実は、カンパニーカー。そして、5年のリースとなっている。価格は、68,000ユーロ程度。それを1,500ユーロ/月だそうだ。 今、EUに加盟したてのSlovenia。EU各国からの投資を当て込んで、不動産評価価格が上昇中。彼の持つ不動産の評価額が相当なものとなった為に、最近は、銀行がイヤに愛想がいいらしい。お金貸すから使って攻撃。どこかの国のある時代を彷彿とさせるが...。そして、このQ7の話を銀行から勧めてくれたらしい。
A4 2.0L :1984cm3 , 96kw(130ps)/5700rpm , 195Nm/3500rpm , Max speed : 202km/h , 0-100km/h : 10.4s
ほんの参考まで...
 最後にこのQ7をドライブし、その重量ゆえに、加速・走行性能そのものは、サイト主のA4 Avant 2.0Lと似ていると感じた。おそらく、市街地走行では、もっさりとしているのでは? しかし、一旦、高速道路へ出て、100km以上の高速走行を行えば...!? その高速安定性はしっかりしたものがあるのだろう。最も典型的なドイツ車の乗り味であると感じた。もし、日本でそれなりの走行能力が欲しいならば、ガソリンの4.2Lしかないだろう。 0-100km/hが7秒台。これだと、A4 Avantでは、3.2L quattroに匹敵する。2.0LT quattroでも8秒台なのだから。

 そして最後に、このTDIエンジンを一言で表現すると...適当な例を思い出した。このエンジン。TOYOTAのガソリンのD4エンジンに似ている。その吹き上がりや、アクセルを通じて感じる感覚。以前、アイシスの試乗にいって感じたそのままである。そして、その加速のもたつき方も...。

2006年6月記
Audi Q7 3.0 TDI  < II >
 Audi Q7のその後。 
最後の訪問から、ほぼ8ヶ月。まず、総走行距離は、53,000kmを超えていた。 この8ヶ月間の、メンテ記録としては、
@ タイヤを冬タイヤに交換。ミシュラン製Latitude。これは良いというオーナーの意見。
A エアサスのコンプレッサーを交換
B ヘッドライトのユニットが曲がって来たので交換。
C エンジンのベルトのプーリーが脱落。
 まぁ、こんなところらしい。 初期のモデル何でなぁ...。
 ちなみに、今回、220km/hを記録したときには、以前の耐え難い振動が激減していた。多くはタイヤの関連だろう。2.5tの車重にも十分耐えられる冬タイヤとの事。
 220km/hをマークした時のドライビングコンピューター表示燃費は、22.5L/100kmだった。
これがそのミシュランタイヤ。
Michilin Latitude Alpin HP 255 55 R18というブランド。



スロヴェニアにある古城ホテル・レストランとAudi Q7。雰囲気ありませんか?
いつも国境で、エンジンルームを調べられたりしているので、なぜかと聞くと、車体番号等の確認だそう。手元の車検証の記載と違いがないか確認するとの事。この写真以外にも、車体下にもあるらしい。盗難にあったクルマがEU外に転売される事を考慮してだろうが。
2007年2月加筆
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